当グループでは、主に消化管腫瘍性病変に対する診断・内視鏡治療を日々行っており、日常診療や「内視鏡所見会」で生じた疑問などを元にした臨床研究を主に行なっています。また、前任の鶴田教授のご尽力もあり新潟大学病理教室への国内留学コースが実現しています。新潟で消化管病理の基本や最先端知見を学んだ若い先生たちは、帰学後に消化管腫瘍の研究に活かしています。また、伝統的に胃癌や大腸腫瘍の内視鏡診断に関する臨床研究を行なっており、その成果は九州や全国の学会・研究会で発表しています。最近では、超拡大内視鏡(Endocytoscopy)を導入し、腫瘍/非腫瘍の鑑別、癌/非癌の鑑別などの基礎的検討を行なっています。
今後は、新たに導入された新内視鏡システム「EVIS X1」に搭載されたEDOF機能・TXI機能を用いた診断能向上に向けた臨床研究を検討しています。
炎症性腸疾患(IBD)は腸管に慢性持続性の炎症を引き起こす難病で、発症メカニズムは不明な点が多く、その解明には基礎研究や臨床研究の積み重ねが必要です。私たちはIBDに関する臨床研究だけでなく、マウスやラットを使用した基礎研究にも取り組んでいます。
IBDは遺伝的素因、腸内細菌、免疫異常などが複雑に絡む多因子性疾患であることから、基礎・臨床にわたり、国内外のさまざまな領域の専門家との共同研究を進めています。研究成果は医学雑誌や学会発表を通して世界に発信するように努めており、成果の一部は機能性食品、治療薬、診断薬として臨床応用されています。
多くの若い医師や大学院生が基礎研究や臨床研究で学位を取得しています。これからも、“基礎から臨床へ、臨床から基礎へ”と双方向の視点を持ちながら診療のできる若い医師を育成するとともに、IBDの診療・研究を世界的にもリードしていきたいと考えています。
当グループは、肝硬変症に起因する門脈圧亢進症の病態・食道・胃静脈瘤の治療成績、異所性静脈瘤の治療、肝癌治療や直接型抗ウイルス製剤(DAA)による静脈瘤の変化、B-RTOに関して、臨床研究を中心に行なっています。DAAの登場で近年C型慢性肝疾患は減少してきましたが、C型肝炎ウイルス持続消失(C-SVR)となるも門脈圧亢進症病態の増悪や進行の問題や、抗がん剤や分子標的薬・免疫チェックポイント阻害剤などによる薬物性の門脈圧亢進症といった時代的変遷とともに新たな臨床疑問も生じてきており、今後の検討課題です。
当グループでは、日常診療で生じた疑問を元に“明日から役立つ研究”をテーマに臨床研究を主軸に行なうことを心がけています。また、他科(特に病理・病理診断科)との共同研究も積極的に行なっています。さらに、本邦発のエビデンス発信を願い本邦の多施設共同研究に多数件参加し、メイドイン ジャパンを願い内視鏡関連デバイス開発にも積極的に協力しています。一方、本邦の癌死第4位となり難治癌の代表格である膵癌の早期発見と進行癌治療の成績向上を目指し、今後は病診連携事業や基礎分野との共同研究を積極的に行なっていきたいと考えています。